幸せだよと嘘をつく




弁護士に依頼して真奈美さん宛てに内容証明を送った。
そして、単身赴任しているご主人と真奈美さんの実家宛に彼女の浮気の証拠を弁護士を介して送り付けた。
真奈美さんのご主人が、康介に慰謝料を請求できるよう丁寧に全ての証拠を揃えて送った。

真奈美さんのご主人には、個人的に連絡を取り、康介相手に慰謝料請求して下さいと伝えた。





「自分の責任だから、弁護士費用もまとめて雪乃に支払う」

康介はテーブルに置かれた書類に目を通した。

真奈美さんがカフェで話したすべてを文字に起こし、雪乃は彼に渡した。
SNSを見せて、1年前から関係を持っていた事を証明した。

「彼女の分も慰謝料をあなたが支払ってくれるのよね?」

「そのつもりはないよ。彼女とはもう関係を断っている。ご主人の小林さんから俺に慰謝料請求が来るだろう。その分は彼女の旦那さんに支払う」

「謝罪しに行かなくちゃいけないわね。しっかり謝ってね。真奈美さんはご主人と離婚して、あなたと子供たちを育てるつもりみたいよ。新しい家族と共に頑張ってね。責任を取ってあげなきゃね」


「……真奈美との関係は終わっている。子供は俺の子じゃない。育てるつもりはない」

流石に他人の子どもを育てる気はないのかもしれない。
けれど全て、康介が起こした不始末。


「不倫したあなたは有責配偶者だから私との離婚には応じてもらうわ」



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