幸せだよと嘘をつく




数時間眠った。
起きてリビングに行くが、康介は出かけているようで誰もいなかった。

雪乃はダイニングテーブルにパソコンを置いて、離婚後の資産の振り分けを打ち込んでいった。

いつか子どもができ、マイホームを買うために2人で貯めていた夫婦の貯金は折半してもらう。
夫婦の財布は別だった。だから自分個人の貯金はある。
ここの家賃や光熱費、もろもろは全て康介が払っていた。大きな買い物をした時の支払いも康介だった。

雪乃は食費を出していた。
外食する場合は各々の財布から、二人で外食した場合は康介が支払った。
だいたい3:7くらいの割合で、康介の方が多く支払っている。
収入は康介が雪乃の倍はあるはずだ。

雪乃は離婚後の生活のことを考えた。
これから住むアパートを探さなければならない。
今後は一人ですべての費用を賄う。

だいたい毎月8万円くらい食費に使っていた。その他、消耗品なども雪乃が購入していた。
そのお金を次の生活費としてスライドさせれば、これからの生活の心配はない。
夫の為に、肉や魚は良いものを買っていた。
一人だったら食材にこだわらなくてもいいし、量も食べない。
食費は大幅に減るだろう。
確認しないと分からないが、会社から少しは家賃補助が出るはずだ。

「……前向きに考えなきゃ」
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