漆黒の貴公子と亜麻色の姫


静かな夜の校舎に響く、ピアノの旋律。

誘われるように、音の鳴る方へ歩みを進める。

扉の影から、そっとその姿を覗いた。

月明かりに照らされた彼は、手を止める。



「っ…………!」



息を呑んだ彼の目に映るのは、亜麻色の髪の乙女、

だけではなく。

驚愕と、恐怖と、

……憎悪の色。

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