漆黒の貴公子と亜麻色の姫
月明かりの夜


放課後、いろいろな荷物を抱えて校舎を出たわたしは、自分の寮の部屋へ向かった。

本来なら3年生までの一般生徒は数人で1つの部屋に住むのだけれど、中途半端な時期に転校してしまったわたしは、たまたま空いていた部屋をひとりで使うことになった。

荷解きを進め、ひと息ついて寮内の食堂へ向かう。

簡単に食事を済ませて、明日の授業の準備をするために急いで部屋に戻った。



「あれ、単語帳がない……?」



明日は早速小テストがあるのに、教室に置いてきてしまったんだ。

時計を確認すると、ちょうど19時半。

学校は20時まで開いているはず。



「よし……」



わたしは寮を飛び出して、校舎へ急いだ。

< 10 / 13 >

この作品をシェア

pagetop