漆黒の貴公子と亜麻色の姫
「え、お隣の篠宮くんってそんなすごい人だったの⁈」
「うん。それはそれはすごい人気だよ」
「あ~、だから女の子たちがざわざわしてたのかあ。王子って言われてたのもその異名のせいなんだね」
日本の政治体制を生徒会に導入するっていう話は、学校のホームページに掲載されていたので知っていた。
まさか、わたしと同い年の当時1年生だった人が提案したものだとは思わなかったけど。
わたしがこの学校に憧れていたのは、政治家になりたかったから。
議院内閣制を導入するって知って、さらにこの学校に通いたいと思ったんだ。
「あんまり王子と話しちゃうと、女の子たちに嫌われちゃうから気をつけてね」
「そうなんだ……最低限で済むように気をつけるよ」
「まあこの学校は恋愛禁止だし、何か大ごとになることはないんだけどね」
「えっ、恋愛禁止なの⁈」
「そうだよ。すっごく秩序を重んじてるから」
恋愛禁止かあ。
別に彼氏が欲しいとかそういう欲があったわけじゃないけど、高校生のうちに恋愛とかしてみたいなあ、とぼんやり考えていたので、ちょっと落胆する。
まあこの学校に入れただけでも十分だし、と気を取り直して食堂を出た。