極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜


紗弓と別れて、西園寺殿に指定されたコンビニまで走った。…いや、コンビニでいいの?っと思わないことも無かったが…倉庫とか路地裏とか”いかにも”な場所を言われなくて正直安心した



西園寺殿は紗弓の家を知っていたのか…すぐ近くのコンビニを指定してくれたのであっさりと受け渡し場所に到着してしまった。




すぐに手渡せるように、っと財布を取り出したとき…「ヒラリー嬢」なんて聞き覚えのある声がして顔を上げた



─…その瞬間、

突然後ろから誰かに口を塞がれた。



視線の先で西園寺殿が焦ったような顔をしているのが見えるが、背後にいるのが誰なのか私には分からない。



─…ここがコンビニでよかった…なんて思ったことをたった今、後悔した。



西園寺殿とのことで頭がいっぱいの私には駐車場に停められていた車に気を配る余裕なんて全く無かった。



店内ではなく外の駐車場で西園寺殿を待っていた私。近くに車が停められたところで何も不審に思わなかった。だから気付けなかった。




口を塞がれたまま…力強く身体を引っ張られ、後ろに停められていたと思われる車に一緒に引きずり込まれた。



───ヤバいっ、



大人しく言うことを聞くから、どうか車だけはやめて欲しい。せめてバイクとか、自転車とかなんなら徒歩でもっ─…




「なんでっ…兄貴、、なんでだよ!!!モノは俺が回収するから…彼女には手は出さないって約束っ、」


「あれ?そんな約束したっけ?悪ぃ、忘れてたわぁ…ごめんな、光」



車のドアが閉められる直前、そんな会話が聞こえてきたが…駆け寄ってきた光くんに構うことなく車が発進してしまったせいで、光くんの身体が吹き飛ばされた…ように見えた。


< 127 / 214 >

この作品をシェア

pagetop