極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
その瞬間、拉致されたことなんて頭から抜け落ち今すぐに車から出たい衝動に駆られる。
「…おいっ、何止まってんだよ!」
「そっ、それが……前にっ、、」
運転手とニセ光くんがモメている中、必死でドアノブに手を掛けてスライドのドアを開けようと試みるが─…鍵があいているのに開かない
──…苦しいっ、息が出来ない、
窓ガラスをバンバン叩き始めた私を視界に入れたのか後ろからニセ光くんに腕を拘束される
「……お前、GPSでも仕込まれてんのか?こんなに早く見つかるなんておかしいだろっ」
「あ…熱いっ、、痛い、助けてっ…」
「……は?何だよ…気持ち悪ぃなっ、離れろ」
目の前の男にしがみついた時、窓ガラスが割れた音が車内にうるさく響いた。
次の瞬間─…
目の前にいるニセ光くん、では無く。背後から伸びてきた何者かの腕が首元に絡みつき…首が絞まるかと思う程強い力で後ろに引っ張られた
何が起きたのか分からず大人しくされるがままになっていたが、見える景色に夜空が映ったことで車外へ出ることが出来たのだと悟った。
─…っと、同時に、
「俺を欺こうなんて、いい度胸してんな。」
間違えるはずが無い…大好きな推しの声が耳元で聞こえてきて…助かったんだ、って確信した途端、安心して涙が溢れた。