極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
もしかしたら─…仁睦さんも新次郎と同じで暴走族出身だったりするのかな?いや、出身っていう言い方が正しいのかどうかは不明だけど。
ヘルメットを被っていないので、仁睦さんのサラサラとした黒髪が風に靡いていて…その姿を見られただけで10日くらいご飯を食べなくても生きていけそうな気がする。
──…本当に、だいすき
あーあ、このまま二人でどこか違う世界にタイムスリップ出来たらいいのにな。今この瞬間、仁睦さんは私だけの仁睦さんだから─…
むぎゅっ…と抱き着いて、わざとらしく身体を密着させてしがみつく。……ムラムラしろ〜、っと願いを込めながら怖がるふりをしてギューギューとくっつく。
今宵、ムラムラして欲情した仁睦さんと甘い甘い夜を迎えられますよーに─…なんて妄想しつつ、猛スピードを出すことなくとっても安全運転のバイクデートは呆気なく終了した。
私が救出された場所はお屋敷の近くだったみたいで。見慣れた景色が視界に入ってきた頃にはもうお屋敷に到着していた。
「……短い家出だったな」
なんて意地悪をいいながらも私のことを抱き上げてバイクから降ろしてくれる仁睦さん。
「寂しかったでしょ?」
上目遣いで彼の顔を覗き込めば、額を指で弾かれて終わった。