極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
そして…その日の夜は仁睦さんは会いに来てくれなくて、寂しくて震えながらひとり寝たわけなのですが、、
翌朝、ものすごい寒気がして…布団から起き上がると視界がグルングルン回ってそのままバタン…と再び布団に倒れ込んだ。
どうやら昨夜、震えながら寝たのは─…寂しいから、とか言う理由ではなく…単に体調が悪かっただけのようだった。
──…ものすごく、しんどい
こんな時に限って、部屋を訪れない新次郎。今は声を出すのもツラい…向こうから黙って入ってきてくれればいいのに、、
そんな願いが通じたのか、歪んだ視界に映る襖が静かに開かれたのを確認して…助かった、と思い目を閉じた。─…しかし、
「……英里」
その声はランプの魔人新次郎ではなく、愛しの推しである仁睦さんの声…のような気がして、閉じたばかりの瞼をもう一度開いてみる。
「に…ちか、さんっ」
会いたくてたまらなかった仁睦さんの思わぬ登場に、無条件に涙が溢れた。
「……なんだ、お前。具合悪いのか?」
近くに腰を下ろした仁睦さんは…自身の手を伸ばしてきて私の額に手を添えた。
「……やけに熱いな。いつから熱があった?新次郎は一体何をしてたんだ」
なんだかその声が怒っているように聞こえて、その場を立ち去ろうとする仁睦さんの腕をあるだけの力を振り絞って握った。
「行かないでっ、」
「……汗がすごい。着替えを用意させるから待ってろ、すぐに戻る」
「やだっ…仁睦さんに会ったら元気になった…もう治った。」
「馬鹿か、すぐに戻るから大人しくしてろ」
「いやだっ…ドライブデート、行く」
ドライブデートに行く、と言った私を見て…呆れたように小さくため息をついた仁睦さんは、
「あぁ…そーだな。ならその前にお前の高熱、俺がもらってやるから…大人しく寝て待ってろ─…英里」
どういう意味か、なんて考える余裕は今のわたしには残されていなくて…分かったのは仁睦さんがキスをしてくれているってことだけ。深い深いそのキスに応えているうちに、身体が熱くなってきて…再び眠りに堕ちた。
そのあと見た夢の中で、私は無事…推しとのドライブデートを成功させていた。