極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
「………許嫁は?」
「…は?」
「あの許嫁のナイスバディのセクシー姐さんに同じこと言われたら、仁睦さんはあの人のことを抱いてあげるの?」
「……答える義理はない、お前には関係っ、」
「あるっ!!ありすぎるっ!関係しかない!」
推しの胸元に埋めていた顔を上げて、食い気味で彼の浴衣の襟元を掴んで凄んでみせる。しかしそんな反抗は黙殺されて一瞬にして終わった
「うぅ〜…、無視されたァ」
お得意の泣き真似を披露し、再び彼の胸元に顔面を押し当て「うわぁあん」っと大袈裟に声を出してみせる。
私の涙(嘘泣き)に弱い仁睦さんは、放置していた身体にそっと触れ…ゆっくりと背中に手を回して既に密着していた身体を更にギュッと力強く抱き締めてくれた。
「……明日の夜は、お前と過ごしてやる」
──…明日の、夜?
「車、乗せてやるって言ってんだよ。」
「え……それって、ドライブデートのこと?!夜って何時頃の話?!どこで集合?!!」
「普通に、ここに迎えに来てやるから待ってろ。慣らしだから、そんなに長距離は走らねぇぞ」
距離なんてものは…もはやどうでもよかった。大事なのは"誰と"車に乗るかって話し。
不安がない訳では無いが不安よりも"楽しみ"に思う気持ちが既に勝っている。車に乗ることを楽しみだと思える日が来るなんて、その時点でもう私の中では大革命なのです。
「ありがとうございますっ!!仁睦さん、だいすきっだいすきっ!!チュ〜…、」
「調子に乗るな、早く寝ろ」
っと一喝されたところで、大人しく目を閉じて夢の中へと誘われようとした時…チュッと額に触れた推しの唇─…
「─…おやすみ、英里」
この関係に言葉はなくても、確かにいま私たちの間には少なからず何かしらの"愛情"が存在するような気がした。