極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
──…車を、待たせている?
どういうことかと顔を上げて、仁睦さんの手を握ったまま歩き出した彼に着いていけば─…
「お待ちしておりました」
っと、真っ黒なミニバンの隣に立ってこちらに向かって頭を下げる剛田さんの姿が視界に入った。
「あぁ、遅くに付き合わせて悪いな─…」
「とんでもないです。お嬢には以前、失礼なことをしてしまったと…ずっと申し訳ない気持ちでいっぱいでしたのでっ」
どういうことか…と尋ねるよりも前に、後部座席に乗り込んだ仁睦さん。剛田さんは私に一礼してから運転席に乗り込む。
─…え、なんだこの状況は。
「─…─英里、」
既に座席シートに座っている仁睦さんに声を掛けられ、反射的に駆け寄ってしまう。
「あ…あの、仁睦さん…」
「車に乗せてやるとは言ったが…俺が運転するなんて一言も言ってねぇよな?」
──…まじか。
「お前の席は俺の隣だ、いいから乗れ…英里」
勝手に仁睦さんの運転だと思いこんでいたのは確かに私の方だ。でも…思い描いていたドライブデートよりも…もっと過激で思い出に残るいい方法を思いついてしまった。
「…では、お言葉に甘えて……お邪魔します」
後部座席に乗り込み、仁睦さんの隣の席─…ではなく、しっかりと彼の膝の上にお邪魔させて頂きまして。
「………何やってんだ」
「慣らし…なんですよね?顔を見て対面式の方が安心出来るので…」
向かい合うように彼の膝の上に乗って、腕を首元に回し…見上げるように目を合わせる。