極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜


「私、車に乗れるようになったのかな…」


「どーだろうな、今日がたまたまだって可能性もある」


「じゃあ、またドライブデートしてくれますか?」


「相手が俺じゃなくても乗れるようになるまでは、付き合ってやる」



そんな意地悪な言い方しなくてもいいのに。仁睦さん以外の人と車に乗る予定なんてこの先ないのになぁ。



「どーする?まだ続けるか?」



私を膝の上に乗せたまま、片手を腰に回し…もう片方の手で髪を撫でる推し。この絵面を運転席でミラー越しに見ていると思われる剛田氏の心境が気になるところではありますが─…



「……もう少し、続けたい…です」



首元に回していた手に力を込めて、ギュッと身体を密着させて抱き着いた。



私たちの会話を聞いていたのか、仁睦さんが合図を出したのかは分からないが…再びゆっくりと動き出した車内で、仁睦さんの膝の上で過ごす時間は─…幸せ以外の何でもなかった。



推しの力は偉大、とはまさにこのことを言うのだろうか?相手が仁睦さんでなければ、こんな風に落ち着いて居られるのか正直不明ではあるが、確実に克服への大きな第一歩へと繋がったことは間違いない…と信じたかった。






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