極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
「……どーした」
頬を伝う涙を拭ってくれる推しは、いつも通り尊いご尊顔で。ただ涙を流す今の私の顔はきっといつも以上にブサイクなはずなのに。
いつものブサイク発言をしてくれない仁睦さん。なんでもいいから、気が晴れるようなことを言って欲しかった。
「…英里?」
これ以上、黙っていられる訳もなく…自分の手で涙を拭ってから…スマホの中の兄のピン写を表示してそれを仁睦さんに向ける。
黙ってスマホを眺める彼を見つめながら─…
「にぃに、高一の夏休みに…死んじゃった」
そう小さく呟けば、少し目を見開いた仁睦さんの視線がスマホから私へと移された、
「もう居ない、だから会えない。私と仁睦さんが一緒にいる所を見ても…にぃにが怒ることはない…からっ、だから─…これからも一緒に居ていいですか…仁睦さん」
別に、追い出すと言われた訳では無いが…一応確認しておきたかった。自分の古い友人の妹だということで後ろめたさみたいなものを感じてお屋敷から追い出されても…おかしくないような気がしたから。