極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
「あぁ…なんだ、そーいうこと。」
なにか納得したような表情を浮かべて、私から目を逸らした仁睦さんに不安な気持ちになる。
たまらず彼の腕をギュッと掴むと、再び目を合わせてくれた仁睦さんは─…
「ユキには敵わない…」
そう言って、私の身体をキツく抱きしめた。
「最後に会った日、ユキに言われた事がある」
「……え?」
「誰にもやらねぇ、見せたくないし触らせたくない…って、ひたすら溺愛してた妹のことを突然、俺になら譲ってもいい…なんて言って、笑ってた」
……なんの、話し?
「その時の俺は、ユキの妹に興味もなかったし小学生のガキに執着してるアイツの気持ちなんて全く理解できなかった。だから本気にすることも無かったし適当に流して終わらせた会話が…今になってようやく、理解出来た」
「…仁睦さんっ」
「オカルト的なものは信じない、ってそれは今も同じだが…なんだろーな。お前と出会ったのは偶然じゃない気がする」
それは…私もさっきから同じことを思っていた。もしかしたら兄が出会わせてくれたのかな、って─…
「理屈で説明がつかないことを、この目で幾度となくみる機会があったが…自分の身に降りかかる日が来るとは、思わなかった」
抱きしめていた腕をとき、もう一度私と目を合わせてくれた仁睦さんの目は…見たことがないほど優しい目をしていた。
「お前のことがやけに気になったのは、どこかユキに似てたからだったのかもな」
「あまり似てると言われたことはっ、」
「─…気が変わった。」
「…はい?」
「約束通り、お前のことは俺が貰ってやる」
──…俺が、貰ってやる?
その言葉の意味を確認するよりも前に、後頭部に手を回され深く唇を塞がれたことにより思考回路は一時的に停止する。
…どうやら私、幸せになれるかもしれないです