極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
「──英里、」
……どうやら私の方が先だったらしい。
仁睦さんに身体を離される前に自分から離れようと身を引いた時、今度は仁睦さんの腕が伸びてきて…片手でグッと抱きしめられた。
「っあ…あの、、お兄、」
「彼女の家の会社が主催してる集まりに参加するだけだ。終われば真っ直ぐ帰ってくるから…大人しく待ってろ、英里」
ヨシヨシ…っと、髪を撫でるオプションまでついてきて、思わず頬に熱が集まってくる。
「……待って…る。」
彼の服をギュッと摘んでそう伝えると、最近よく見る優しい笑みを私に向けてくれる推し。
──…よく見ておけよ、新次郎
ご令嬢サマの前であろうと、仁睦さんは私のことを選んでくれたのだよ!しかとその目に焼き付けておくがよいっ!
「……行きましょうか」
最後、ポンポン…っと頭に手を置いてから私から離れて行ってしまった仁睦さん。寂しくないわけがないけど…穏やかな心で見送ることが出来た。
それはきっと、仁睦さんが私の不安を解消してから出掛けてくれたから─…
「…どーだろうな、、本当に真っ直ぐ帰ってきてくれたらいいね?お嬢サマ?」
新次郎のこんな言葉を聞いても…揺らいだり、しない。仁睦さんは”嘘はつかない”って何度も言っていたから、、だから…早く帰ってきてね。