極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
しかし、深夜1時を回っても部屋を訪れない仁睦さん。ご飯もちゃんと食べたしなんなら今日はオカワリまでした。お風呂も入って髪も乾かしてブローまでして、、推しの帰りを今か今かと待っている。
なのに、一向に姿を見せない推し。それどころかお世話係りサブである新次郎までもが最近は深夜になると姿を消してしまうので…暇を潰す相手もいない。
姿を消す、と言ってももちろん代わりの舎弟の人を交代で置いてくれているが…この時間は基本私は眠っている、もしくは仁睦さんと一緒なので深夜に私の世話をする必要がない…というのが新次郎が姿を消すようになった理由だと思われる。
まぁ別に見張りやお世話係が居てもいなくても、今更お屋敷を勝手に抜け出そうなんて思わないのでどうでもいいのだが、、それにしても。
「遅いです、仁睦さんっ…」
帰ってくるって、言ったのに。もう2時になっちゃう。こんな遅くまで何シてるの?私を貰ってくれる約束は?貰う前だから何シてもいいと思ってるならそれは間違いだからな?!
なんて、心の中でいくら悪態をついても仁睦さんが帰ってくるわけでもないので─…
そっと襖を開いて廊下に出て、玄関に向かおうと歩き出したとき、、
「─…お嬢、どちらへ?」
どこから湧いてでたのか、舎弟の一人である染谷《そめや》さんが走って近づいてきた。
「……にちっ……お兄ちゃんが遅いから、玄関で待ってようと思って。」
うっかり”仁睦さん”と言いそうになったのを、慌ててお兄呼びに変更して答える。…危なかった。