極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
「っま…待ちなさいよ!!」
なぜか追いかけてきた麗奈さんに再び腕を掴まれたので、大人しく足を止めて彼女の言葉を待った。
「……あなたっ、仁睦さまの妹なんかじゃないでしょ?会う度におかしいな、って思うことがあったから…調べさせてもらったけど。仁睦さまに兄妹がいるなんて情報はどこにも無かった」
「……だったら、何なんですか」
「知らないとでも……?裏で出回ってる写真、仁睦さまと一緒に写ってるの…あなたよね?」
私たちの路チューショットを見たことがあるなんて…この人、もしかして悪人?
「あなた一人、向こうに引き渡せば…辰弥会が狙われることは無くなるっ」
「……え…、写真を送ってる人達が誰なのか…知ってるんですかっ?」
「…ほんとに、仁睦さまの妹なら…黙ってようと思った。大事にしてる妹なんだなって、私も大事にしてあげようと思った」
「─…どういうっ、」
「でもっ、そうじゃないなら…消えてもらうっ」
人は見かけによらないとはこういうことをいうのか。多分この人…美園 麗奈さんは、本気で仁睦さんのことが好きなんだ。
私のせいで仁睦さんまでよく分からない組織に狙われることを避けたかったのだろう。大したものだな…極道を生きる若頭の妻になる人って、こういう人のことをいうのかな?
好き、大好きって……そんな感情論で突っ走ってる私なんかと全然違うっ。すぐに逃げ出して背を向けた私とは違って彼女は…初めから私と向き合おうとしてくれていたのだ。