極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
お屋敷に着いて、仁睦さんの膝元から降りようと身を乗り出すと…それを阻止するようにして私を腕に抱きかかえて車を降りた仁睦さん。
「あ、あの……自分で歩けますっ」
「ケガしてんだろ、危ねぇからこのままでいい」
うぅっ…推しが尊い。大切に扱われているみたいでとても幸せです。……っていうか、、
「っえ……これ、このバイク!さっき新次郎が乗ってたバイクですよねっ?!」
御屋敷の前に雑に放置されているバイク。しかしそれは車体のあちらこちらに傷がついてハンドルなんてグニャリと曲がってしまっている。
「あー…新次郎は、しばらく帰らない」
……なんて?
帰らない、って…どういうこと?
ボロボロのバイクに目をくれることもなく、私を抱きかかえたまま敷地内に入っていく仁睦さん。
一方で私は新次郎の行方とあのバイクのことが気がかりで…放置されているバイクをもう一度視界に入れようと、つい身を乗り出してしまう。
「……大人しくしてろ、お前が知ったところでどうにかなる話でもない」
「新次郎、どうしたの?まさかあの後、事故にあったりした…?」
「知らなくていい、そのうち戻る」
「仁睦さんっ!」
「お前には知られたくない、って…あいつの思いを…汲んでやれ」
分かんないよ……そんなの、分かりたくもない。