極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
フラフラ千鳥足男を再び視界に入れようと勢いよく顔を上げた結果、酔っぱらいの私は手に持っていたスマホを地面へと落下させる。
その音に反応した様子の千鳥足男が、私の方にゆっくりと足を勧めてくるのが分かった。電柱の街灯で一瞬見えた男─…その姿を見て全身に鳥肌が立った。
──…なぜ、ズボンを履いてない?
8月…とても暑いこの季節にロングのトレンチコートを羽織っているその男は、腰より下…つまり下半身に衣類を身につけていない、、ように見えた。
いや、一瞬だし見間違えたのかも、っと自分自身に言い聞かせて少しでも落ち着こうと努力してみるものの……やはり、無理そうだ。
「………僕をっ、見て」
2メートルくらい離れたところで立ち止まったその人は、胸の前で手をクロスして…何かを隠しているような素振りを見せる。
嫌な予感がする、っていうかこれはもう絶対にそうとしか思えない!この人私に"変なモノ"を見せようとしてる!
「ま、待って…ください。私いま酔ってて、見ても多分忘れちゃうから別の機会に、」
「忘れるならまた見せに来るから大丈夫」
っなわけ!!
ちょっと待て…走ればもうすぐそこに家がある、なんてバカな考えが過ぎったとき─…
目の前の変質者は、遂に隠していたモノを私に披露しようとクロスしていた手を大きく広げた
──…その瞬間、
背後から伸びてきた何者かの手によって目隠しをされた。あまりに突然のことに身体が震える
…え、仲間が居たの?