極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜


「こんな家で育ったからな…未来に希望なんて持てなかった。新次郎はよく会長に刃向かって好き勝手やって荒れてたが…俺はただ会長に従って、言われるがままに生きてきた。」



本妻の息子の新次郎と、愛人の子の仁睦さん。それが本当なのか尋ねる勇気は無いけど…話しを聞いていると何となく察するものがある。



「学生の頃、この先…人の道を外れた人生を送ることに多少の迷いがあった。そんな時、ふらっと俺の目の前に現れたのがユキだった。夜…コンビニで、家に帰りたくなくてただダラダラ時間を潰してた俺に”暇ならバイクに乗せてくれ”なんて言って話しかけて来たのが出会いで…それから二人でよく夜中にバイクで出掛けるようになった」




知らなかった。おそらくお兄ちゃんは小学生の私を寝かしつけた後…一人で家を出て仁睦さんと会っていたのだろう。



私が寝るまでずっとそばでいてくれた兄の温もりはいまもちゃんと覚えている。



「誰にも言えなかった…家のことを、ユキには話せた。深い付き合いじゃないから、よく知らない奴だから…愚痴みたいな感覚で。俺はユキに弱音を吐いたことがある。その時にっ…今のお前と全く同じことを言われた」



「……おなじこと?」


「迷うくらいなら辞めちまえ、って。迷ってる時点で向いてない…思いのままに生きればいい、って」



よく知らない間柄だとはいえ…そこまでハッキリ言うなんて、兄はなかなか厳しい人だな。



「まぁ結局、俺は新次郎を置いて一人この家を逃げ出す気にはなれなかったから。現状ここに居座ってる訳だが…アイツが望むなら、すぐにでも俺は退いてやるつもりだ」



……ん?えっと、今度はなんの話し?


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