極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
「……、で…」
「…その…、…」
いつの間にかガチ寝してしまったのか、徐々にハッキリとしてきた意識の中…誰かの話し声が聞こえた
小声すぎて何を話しているかまでは分からなくて…ゆっくりと身体を起こしてみるとバサッと家宝である仁睦さんのスーツが足元に落ちた
──新次郎が掛けてくれたのだろうか?
「一人は寂しいんじゃ無かったのか?」
推しのジャケットに目を落としていた私は、すぐに気が付くことが出来なかった。
「……あぁ、まだ寝てんのか」
部屋の端っこの方で新次郎と立ち話をしていたと思われる推し…仁睦さんの姿を確認し、慌てて立ち上がって彼の元まで走った
「バタバタ走るんじゃねぇ、」
「私は極道育ちではないので、いいんです」
「…暑苦しい、離れろ」
「本当にダメな時は”怒鳴る”って知ってるから暑いのが理由なら離れない〜…」
数時間ぶりに会う仁睦さんにギュッと抱きついて甘えるようにしてみせれば、お決まりのため息を頂戴する。…それすらも愛おしい。