極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
「……で?テメェはいつまで反抗期なわけ?いい加減、車乗れや!!」
「いやっ…だから…乗り物酔いしちゃうから、私の嘔吐物でお車を汚してしまうのは、」
「車で行けば五分だろーが!毎日お前の都合で一緒に歩かされる俺の身にもなれ、クソアマ!!」
必要ない、と言っているのに断固として大学への道のりを新次郎に送り迎えさせる仁睦さん。彼は御屋敷の中では”妹を溺愛する兄”としてすっかりシスコン扱いされている。
「車には乗らないっ!一人で歩いて行くのでお気遣いなく!では、行ってまいります!」
「「「お気をつけて、」」」
御屋敷にいる人たちは、みーんな家族。なんて会長さんが言っていたが…毎度毎度出かける度にお見送りされるのは申し訳ない。
ので、一刻も早く御屋敷を出たいのに新次郎は私を車で送迎したくて仕方がないらしい。
「……そろそろ、若頭に報告すんぞ。要領の悪い方法で送り迎えをしてるせいで他のシノギに影響が出る…ってな。」
「…わざわざ専門用語使ってくれなくて大丈夫です。普通に”仕事”って言えば?変なの」
「…………殺すっ」
なんだかんだ私の意見を尊重して結局徒歩で大学までの道のりを一緒に歩いてくれる新次郎はやっぱり優しい。
ごめんね、新次郎。
乗らないんじゃないんだよ─…乗れないんだ。