極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
「……あれ、例のヤクザの用心棒?」
「しーっ、聞こえちゃう!あの人地獄耳だから余計なこと言ったら消されるよっ!早く行こうっ!!」
紗弓の手を取って、後ろを振り返りべーっと舌を出して新次郎に手を振って見せれば、スマホを取り出して【⠀で・ん・わ⠀】と口パクでゴニョゴニョ言っているのが見えた。
授業が終われば連絡しろと言う意味だと分かったので軽く頷いて承諾してから、紗弓と共に大学へと足を踏み入れた
「……で?どうよ、推し活の方は」
講義を受ける前に紗弓とカフェでガールズトークをするのがルーティン。同居することになった次の日に紗弓にだけは打ち明けていた。
「う〜ん…まぁ、生きづらい環境ではある」
「どういうこと?まさか、危険な目にあったりしてる訳じゃないよね?」
「え?あぁ、ううん!そーじゃなくて!推しと同じ屋根の下で暮らすってことはトイレひとつ行くにしても気を使うからさぁ…そういう意味で生きづらいってだけの話し」
「……なにそれ、心配して損した」
いやほんと、心配されるような出来事は何もないのよ。