極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
その後の授業は本当に頭に入ってこなくて。一刻も早く帰りたい気持ちを抑えて午後からの授業をなんとか乗り切って─…
「じゃ…また明日ね。英里と連絡つかないの地味に寂しいからさぁ…お金とか大変かもだけど、スマホだけは早急に準備してよ」
……キッズケータイを握らされているとはとても言えなくて、私の安否を常に気にかけてくれる優しい友人を思うと胸が傷んだ。
っが、それはそれっ!!今は一刻も早く帰宅して仁睦さんの帰りを大人しく”待て”して…スマホを一度手元に返してもらいたいっ!!
そう思っているのに─…
「……新次郎のやつ、バックれたな?!」
15回も電話をかけているにも関わらず、応答がない新次郎。屋敷に住み始めて一週間ほどになるがこんなことは初めてなのでほんの少し…心配になってくる。
──…なにか、あったの?
文句を言いながらも、なんだかんだ私の送迎を続けてくれていた新次郎。彼のことを深く知っているとは言わないが…少なくとも仁睦さんとの約束を破るような男ではないことは近くに居ると嫌でも分かった。
「……仁睦さんに、掛けてみる?」
このまま一人で帰ることだって全然余裕なのだが、仁睦さんとの約束を破るのは私も嫌なので…やむを得ない事情、っという切り札があると自分を肯定しながらキッズケータイに登録されている”兄”という連絡先を押した。