極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜


─…10コール以内に出なかったら切ろう


そう心に決めて呼出音を聞いていると、3コールあたりで通話に応じてくれた仁睦さん。



ホッと安堵したことから、屋敷内での規律”お兄呼び”を無視して─…



「仁睦さぁあぁんっ!聞いてくださいよ、新次郎が遂に私のことを見放してお迎えをサボりました!それだけじゃなくてっ、無理やり車に乗せようと毎日毎日っ─…」



「──…ダレ?」



………ん?っえ、お前こそダレ?!


鼓膜が震えてキャッチした音声は、大好きな仁睦さんの愛しいボイスではなく…高音の鈴のように綺麗な声をした─…女性のボイス。




慌ててキッズケータイを確認するが、その発信先は”兄”と表示されている。姉ではない。いや姉なんて設定の人間は聞いたことがない!!



「あ…新ちゃんが言ってた”捨て駒ちゃん”?」



───…捨て駒ちゃん、


なんて……ネーミングセンス100点だな。っていうか新ちゃんって新次郎?絶対新次郎だよなあ?!



「新次郎が迎えに来ないって…?それは仕方がないと思うよ。だってさっき小さな抗争が起きたみたいで御屋敷の中はバタバタしてるから」



……誰なの?いま、御屋敷に居るってこと?



< 60 / 214 >

この作品をシェア

pagetop