極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜


ひらり、と額に張り付いていた前髪が横に流れたような気がして、慌てて額に手を伸ばす。


しかし、私が押さえるよりも前に仁睦さんに前髪を全て横に流されてしまった。



──…見られたっ、


別に恥ずかしいことでは無いし、これが原因でいじめられたことだってない。だけど…好きな人に見られるのは…あまりいい気分ではない。


出来ることなら、ずっと隠しておきたかった。



「なんだ、急に黙り込んで。さっきまでの勢いはどーした…気持ち悪ぃな」


「……気持ち悪いって、私のこと?」


「散々喚いてた人間がいきなり黙り込んだら気味悪ぃって話しだ。お前が変人なのは元からだろ。今に始まったことじゃない」


「……それはそれで、失礼ですね?」



なんて言いつつ、気持ち悪いと思われた訳では無いみたいで安心した。…額に残る傷は当初、自分でも直視するのを避けたいと思うほどグロテスクなものだった。


今となってはただの縫い傷として縮小されているが当時はしばらく腫れが引かなかったし何年も赤みが残ったままだった。



「……そんなに、見ないでっ」


思わず目を逸らしてしまった時、仁睦さんの指がそっと額の傷をなぞった。反射的に目をギュッと閉じてしまう。



「気にしてるのは─…コレ?」



なんて、躊躇することなく聞いてくる彼に観念して静かに頷いてみせると、何も言うことなくそのまま額を指でなぞる仁睦さん。



恐る恐る目を開くと、バチッと目が合ってしまい─…

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