極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
「落ち込んでるところ悪いが、全く目に入らなかった」
なんて、慰めの言葉が飛んできた。そんなことを言われても別に嬉しくはない。決して不幸自慢をしたいわけではないが、余計な慰めは私をもっと惨めにさせる。
「お前なんかより、俺の方がもっと醜い…目を背けたくなるような傷なんて山ほどある。」
──…ん?
「だから、お前のコレを見たところで何とも思わない。別に珍しいもんでもなければ、隠す必要もない」
「……仁睦さんっ、」
「コレが出来た経緯なんてものに興味はないし、お前が過去…コレのせいで苦しんだなんて苦労話しを聞いたところで何とも思わない。ただ一つ俺からお前に言ってやれるのは─…こんなもんは良くある、擦り傷の一つでしかないってこと」
良くある擦り傷のひとつ、なんて。そんなわけない。普通の人はそんな事言わない。良くあること…珍しくない、なんて─…言われたことが無かった。
「実際、変なオッサンに絡まれて目隠しをした時…火災現場からお前を連れ帰った時、白目むいて爆睡してる寝顔を見た時、、どれも前髪なんてボサボサに乱れてたせいで何度もお前の額を見てきたはずだが─…今はじめてコレに気が付いた」
「……うそっ、」
「俺は嘘はつかな、、」
「白目むいて爆睡してたって、本当?!!」
グッと距離を詰めて食い気味で問いかけてみせれば、呆れ顔をしてため息で返された。
「バカの相手は疲れる、もう寝ろ」
人差し指で私の額をツンっと押して距離を取ろうとしてくる推し。…指圧が強すぎて地味に痛いです。