呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
「陛下。私と話をしている人物を、次から次へとおびえさせるのはやめてくださいませ」

 最初は、いったいなんだろうか?と思っていたけれど、今はただの嫉妬だと理解している。彼は……ちょっと尋常じゃないレベルのヤキモチ焼きなのだ。

「外交問題について教えていただいただけですよ。陛下に対してやましいことなど、まったくありませんから」

 エリオットの熱量には少し及ばないかもしれないが、ハンナも彼への愛情を言葉でも態度でも示しているつもりなのに……伝わっていないのだろうか。

 ハンナは拗ねたように唇をとがらせる。

「疑われているのだとしたら、悲しいです」
「疑ってなど、いないよ」

 エリオットはハンナの背中に手を回し、そっと引き寄せる。

「ハンナの愛はちゃんと伝わっている」

 エリオットのその言葉に、ダグラスがおおいに慌てる。

「わ、わたくしも。誓って、王妃さまに懸想などしておりません。そんな命知らずなマネは決して、決して……」

 ハンナに罪はないが、ダグラスは悪い。

 エリオットがそう思っているのでは?と考えたようだ。

 しかしエリオットはそれにも「ダグラスの忠実さはよく承知している。疑ってなどいない」とあっさり答えた。

「ではなぜ、そんな怖い顔をするのですか」

 ハンナは問うたが、彼自身にも答えは出せないようだ。エリオットは首をひねる。
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