呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
「君の願いはなんでも叶えてあげたいけれど……それだけは聞けないな。やっと会えたハンナを手放すなんて不可能だ」
「で、殿下!」

 クスクスと笑いながら、エリオットが言う。

「そうそう。私はもう第四王子殿下ではないよ。この国の、王になった」

 節の目立つ、大人の男の手がハンナの頬に添えられた。ゆっくりエリオットの顔が近づき、コツンと額が合わさる。

「オスワルト王、エリオット・カーミレスが望むものはハンナだけだ」

 高貴な青い宝石に魅入られ、ハンナは身じろぎもできなかった。

「――狂おしいほどに、君だけを愛している。どうか、私の愛を受け入れておくれ」

(……殿下は熱でもおありになるのかしら? それとも、私はやっぱり夢を見ているの?)

 夫であるジョアンやリリアナはどうしているのか? 
 なぜ自分はオスワルトに戻されたのか?
 
 聞きたいことは山ほどあったけれど、もうなにを聞いても理解できない気がする。ハンナの脳はすでに機能停止を起こしていた。
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