呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
 考えてみれば当たり前だが、ハンナが眠っている間に学術研究も進化を遂げていたようだ。

「どうも、女性のフェロモンと魔力には関係があることがわかってきたそうですよ。最近の王妃さま、グッと色っぽくなられましたし」

 そこでナーヤはいたずらっぽく笑んで、声をひそめた。 

「陛下にあれほど愛されていらっしゃるんですもの。魔力がアップしても不思議じゃないですよ」

 どうやら、エリオットとの蜜月はナーヤたちにも知られているらしい。さすがに恥ずかしく、ハンナは頬を染めた。

(でも、そうなのね。エリオットさまに愛されることで、私の魔力が……)

 予想もしていなかったが、原因らしきものが究明できてすっきりした。

「教えてくれてありがとう、ナーヤ」

 彼女はグフフと含み笑いを漏らした。 

「陛下の求愛は昼夜を問わず……おっと、なんでもありませんわ。けれど、いつの日か王妃さまはとんでもない魔法に目覚めてしまうかも!ですね」

(ちゅ、昼夜を問わずって、えぇ……ナーヤたちはどこまで知っているのかしら?)

 侍女の情報網に、ハンナは舌を巻く。

 お茶を飲み終えて腰をあげたナーヤに、ハンナはもうひとつ頼みごとをする。

「そうだわ。この前頼んだ、喉にいい薬湯をもっと用意してもらうことはできるかしら? 陛下がとてもよく効くとおっしゃっているから」
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