呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
「準備が整い次第、近衛軍の精鋭を連れてシーレンに調査に行く。私が不在の間、王宮を任せてもいいか?」
「もちろんです」
ハンナはうなずいたが、胸に押し寄せる不安は隠しきれない。
(反乱の気配がある場所にエリオットさまが……何事もないといいけれど)
「シーレン地方の現在の領地はたしか、イルヴァン公でしたよね」
フューリー・イルヴァン公爵、エリオットの長兄だ。
かつては第一王子殿下と呼ばれていたが、弟のエリオットが国王になったのを機にイルヴァン公爵家を引き継ぐことになったのだ。
オスワルトの王族は長子相続ではない。王子は平等に継承権を持ち、もっともふさわしい者を国王が選定する。
エリオットが六大精霊使いとなったので、前国王は彼を次期国王に指名した。異を唱える者もいなかったと聞いているが……。
(けれど、エリオットさまが力に目覚める前は彼こそが次期国王にもっとも近しい人物だと言われていた)
エリオットに恨みを抱いていても、おかしくはない立場だろう。
「彼は穏やかな人格者で、反逆を企てるような人間ではない。誰に聞いても、そんな答えが返ってくるよ」
「そ、そうですよね」
エリオットの言葉にハンナはホッと胸を撫でおろしかけたが、次の瞬間、彼のサファイアの瞳がいやに冷たい光を宿した。
「もちろんです」
ハンナはうなずいたが、胸に押し寄せる不安は隠しきれない。
(反乱の気配がある場所にエリオットさまが……何事もないといいけれど)
「シーレン地方の現在の領地はたしか、イルヴァン公でしたよね」
フューリー・イルヴァン公爵、エリオットの長兄だ。
かつては第一王子殿下と呼ばれていたが、弟のエリオットが国王になったのを機にイルヴァン公爵家を引き継ぐことになったのだ。
オスワルトの王族は長子相続ではない。王子は平等に継承権を持ち、もっともふさわしい者を国王が選定する。
エリオットが六大精霊使いとなったので、前国王は彼を次期国王に指名した。異を唱える者もいなかったと聞いているが……。
(けれど、エリオットさまが力に目覚める前は彼こそが次期国王にもっとも近しい人物だと言われていた)
エリオットに恨みを抱いていても、おかしくはない立場だろう。
「彼は穏やかな人格者で、反逆を企てるような人間ではない。誰に聞いても、そんな答えが返ってくるよ」
「そ、そうですよね」
エリオットの言葉にハンナはホッと胸を撫でおろしかけたが、次の瞬間、彼のサファイアの瞳がいやに冷たい光を宿した。