呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
 ハンナの嫁ぎ先であるシュミット邸に情報を探りに行っていた彼からの、最後の報告を聞いたエリオットは、顔面蒼白で膝から崩れ落ちた。

「ハンナに……呪詛がかけられた?」

 事件が起きたのは昨夜のことで……死亡したとか眠っているだけとか、シュミット邸の使用人たちの間でも情報は錯綜しているらしい。

「どうする? 俺がコウモリの姿で、もう一度情報を集めてきても――」

 ハーディーラの提言を遮ってエリオットは短く告げる。

「いい、俺が行く」
 
 オスワルトの次期国王として、正面から乗り込んだ。

 シュミット伯爵、ジョアンはブクブクと肥えた醜い男で、白豚にそっくりだった。

 世話になった恩人であるハンナに会いに来た。エリオットがそう告げると、彼は青ざめ、口をパクパクさせた。

 軽んじていた自身の妻が、オスワルトの次期国王と親交があるなどとは露ほども考えていなかったのだろう。

「病気で伏せっている」だのと苦しい言い訳をする彼を締めあげ、真実を吐かせた。

 そして、主犯である愛人のリリアナと彼女の雇った魔術師もエリオットの前に連れてこさせた。

 エリオットは汚物を見る目つきで、三人を見おろす。

 白豚の愛人は彼に似合いの下品な女だ。ドレスもジュエリーも、ついでに顔も、派手なだけで安っぽい。大きく開いたドレスの胸元からこぼれ落ちそうな乳房は、腐りかけのカボチャのようで見るに耐えなかった。
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