呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
「もともとの寿命が無駄に長くてよかったな。ちんちくりんが目覚めるのは十五年後。それから短くとも半年ほどは、お前も生きられるだろう」
「十分だ。ありがとう、クロ」

 エリオットは心から満足していた。

 半年間、それだけあればハンナに感謝と愛を伝えることができるだろう。

 エリオットの残りの生は、ハンナを愛するためだけに使うのだ。

 それから、ジョアンとリリアナに厳しい罰を与え……魔術師に関しては、ハンナの命を奪わなかった点を考慮して少しだけ情状酌量してやった。

 ハンナはオスワルトに連れ帰り、彼女の寝顔を毎日見守った。

 エリオットが二十二歳、眠り続けるハンナと同じ年になったとき父王が亡くなった。国中の誰もが、エリオットが国王になることを望んでいた。

「いつか目覚める、ハンナ・サラヴァン子爵令嬢を王妃とすること」

 エリオットはこの条件だけを提示して、玉座に座った。

 そうして、ただひたすらに待ち続けた。愛する女性が目覚める日を、彼女をこの腕に抱き締める歓喜の瞬間を――。

* * *

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