呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
あの古びた離宮に、ひとりだけいた護衛の男。
王宮が手配したと聞いていたが、調べ直したところ彼を王宮に紹介したのはフューリーだった。
(俺を監視し、様子を報告させていたんだろうな)
玉座にもっとも近いとされていたフューリーがなぜ、不遇王子を気にかける必要があったのか?
その理由にも心当たりがある。
かつてハンナにも説明したが、エリオットはクロの存在を隠し続けていたわけではない。
むしろ、初めは積極的に王宮に知ってもらおうとしていたのだ。自分は精霊と交流することができるのだと。
だが、ハーディーラの気まぐれな性格のおかげですべて失敗に終わった……わけでもない。
一度だけ、ハーディーラが姿を現しかけたときがあったのだ。しかし、その場にいたフューリーがさりげなく妨害した。
そして、彼はエリオットにこう言い聞かせたのだ。
『もう、やめておけ。嘘つきだと、笑われてしまう』
『わかった? もう二度と〝精霊〟などと口にしてはいけないよ』
さも、エリオットのためを思っているような顔をして――。
子どもだったエリオットは、彼の偽りの〝親切〟を信じてしまった。優秀な兄の言うことには、従っておいたほうがいいと。
以来、エリオットはハーディーラ―の話を他人にすることをやめた。
(でも、兄上はずっと不安でたまらなかったのだろうな)
王宮が手配したと聞いていたが、調べ直したところ彼を王宮に紹介したのはフューリーだった。
(俺を監視し、様子を報告させていたんだろうな)
玉座にもっとも近いとされていたフューリーがなぜ、不遇王子を気にかける必要があったのか?
その理由にも心当たりがある。
かつてハンナにも説明したが、エリオットはクロの存在を隠し続けていたわけではない。
むしろ、初めは積極的に王宮に知ってもらおうとしていたのだ。自分は精霊と交流することができるのだと。
だが、ハーディーラの気まぐれな性格のおかげですべて失敗に終わった……わけでもない。
一度だけ、ハーディーラが姿を現しかけたときがあったのだ。しかし、その場にいたフューリーがさりげなく妨害した。
そして、彼はエリオットにこう言い聞かせたのだ。
『もう、やめておけ。嘘つきだと、笑われてしまう』
『わかった? もう二度と〝精霊〟などと口にしてはいけないよ』
さも、エリオットのためを思っているような顔をして――。
子どもだったエリオットは、彼の偽りの〝親切〟を信じてしまった。優秀な兄の言うことには、従っておいたほうがいいと。
以来、エリオットはハーディーラ―の話を他人にすることをやめた。
(でも、兄上はずっと不安でたまらなかったのだろうな)