呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
無能な弟が、六大精霊を従えて自分から玉座を奪う。
その日が来るのが恐ろしくて、だからエリオットの離宮にスパイを潜り込ませた。
ハンナの影響でエリオットの力が覚醒しはじめていることを知り、ハンナを遠ざけてしまおうと画策したのだろう。
(私の世界からハンナを奪ったのは、あの男だったというわけか)
フューリーへの憎悪が、自分でも制御しきれない速度で膨れあがっていく。
だが彼もまた、長いことエリオットへの憎悪をつのらせてきたのだろう。奪われた玉座を取り戻そうと、このシーレンの地で力を蓄えていたのかもしれない。
(滑稽だな)
クスリとエリオットは唇をゆがませる。その様子に気づいたアレクスがけげんそうに首をひねる。
「なにか、面白いものでも?」
「いや、なんでもないよ」
エリオットには子がいない。あとほんの少し黙って待っていれば、玉座はフューリーのもとに転がり込んできたはずなのに――。
その日が来るのが恐ろしくて、だからエリオットの離宮にスパイを潜り込ませた。
ハンナの影響でエリオットの力が覚醒しはじめていることを知り、ハンナを遠ざけてしまおうと画策したのだろう。
(私の世界からハンナを奪ったのは、あの男だったというわけか)
フューリーへの憎悪が、自分でも制御しきれない速度で膨れあがっていく。
だが彼もまた、長いことエリオットへの憎悪をつのらせてきたのだろう。奪われた玉座を取り戻そうと、このシーレンの地で力を蓄えていたのかもしれない。
(滑稽だな)
クスリとエリオットは唇をゆがませる。その様子に気づいたアレクスがけげんそうに首をひねる。
「なにか、面白いものでも?」
「いや、なんでもないよ」
エリオットには子がいない。あとほんの少し黙って待っていれば、玉座はフューリーのもとに転がり込んできたはずなのに――。