呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
(あぁ、エリオット殿下が笑っていらっしゃる。――よかった)
ナパエイラに嫁いでからもずっと、彼のことが気がかりだった。
きっと花開く、彼は国王になるはずだと信じてはいたけれど……こうして、実際に大人になった彼の幸福そうな様子を見ることができてホッと安堵する思いだ。
(原石は、最高級の宝石へと磨きあげられたのですね)
花がほころぶようなハンナの笑みをじっと見つめて、彼がつぶやく。
「かわいすぎる」
「え?」
「ねぇ、ハンナ。やっぱり口移しで食べたほうが身体への負担が少ないと思うんだけど、どうかな?」
「ど、どうもこうも、ありません!」
隙あらばと迫ってくるエリオットに、ハンナは真剣な顔を向けた。
(このまま、ここでエリオットさまに甘えているわけにはいかないわ。だって……)
指一本触れてもらっていないとはいえ、ハンナは人妻。そして、現在のエリオットは三十二歳の国王陛下なのだ。自分が彼のそばにいるわけにはいかない。
「聞いてください、エリオットさま。大切なお話です」
「うん。君の話なら何十時間でも聞きたいね」
「そ、そんなにはかかりません」
真面目に反応するハンナがおもしろいのだろう。彼は美しい唇に、こぶしを当てて笑いをこらえている。
「まず、大変なご迷惑をおかけしたことをおわびさせてください」
居ずまいを正して、ハンナは頭をさげた。
ナパエイラに嫁いでからもずっと、彼のことが気がかりだった。
きっと花開く、彼は国王になるはずだと信じてはいたけれど……こうして、実際に大人になった彼の幸福そうな様子を見ることができてホッと安堵する思いだ。
(原石は、最高級の宝石へと磨きあげられたのですね)
花がほころぶようなハンナの笑みをじっと見つめて、彼がつぶやく。
「かわいすぎる」
「え?」
「ねぇ、ハンナ。やっぱり口移しで食べたほうが身体への負担が少ないと思うんだけど、どうかな?」
「ど、どうもこうも、ありません!」
隙あらばと迫ってくるエリオットに、ハンナは真剣な顔を向けた。
(このまま、ここでエリオットさまに甘えているわけにはいかないわ。だって……)
指一本触れてもらっていないとはいえ、ハンナは人妻。そして、現在のエリオットは三十二歳の国王陛下なのだ。自分が彼のそばにいるわけにはいかない。
「聞いてください、エリオットさま。大切なお話です」
「うん。君の話なら何十時間でも聞きたいね」
「そ、そんなにはかかりません」
真面目に反応するハンナがおもしろいのだろう。彼は美しい唇に、こぶしを当てて笑いをこらえている。
「まず、大変なご迷惑をおかけしたことをおわびさせてください」
居ずまいを正して、ハンナは頭をさげた。