呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
ハンナはにっこりとほほ笑んでみせた。
「私の遺言だと伝えてください。オスワルトを守る立派な王として、生をまっとうすること。そして、どうか幸せに、笑顔で過ごしてほしいと」
自分の遺言なら、彼は必ず守ってくれるはずだ。
ハンナの揺らがない決意を聞き、ハーディーラも真剣な表情を見せた。
「しつこいようだが、魔法は一度かけてしまったら取り消せないぞ」
「後悔などいたしません。私の命と引き換えに、エリオットさまを救ってください」
それ以上の反論がないのは、承諾の意と解釈してもよいだろうか。
先手を打って、ハンナは「ありがとうございます」と告げてしまう。
ハーディーラが瞳を閉じる。
彼に呼ばれてやってきた風が、虹色の花をサワサワと揺らす。
下から押しあげられるような圧でハンナの身体は宙に浮いた。
そのまま、自分の意思ではないのにふわんと仰向けになる。
手足の力が抜け、ハーディーラみたいに、ハンナの身体も闇と同化していくような心地がした。
彼がなにか呪文めいた言葉をつぶやく。
はっきりと聞こえるわけではないが、エリオットを救う魔法だと思うと、とても耳に心地よい。
(すごく、幸せな死ですね)
自分の命が、愛する人を生かすために使われるのだから。
(無になるわけではない。私の魂はエリオットさまのなかで生きることができる。これからもずっと一緒……)
「私の遺言だと伝えてください。オスワルトを守る立派な王として、生をまっとうすること。そして、どうか幸せに、笑顔で過ごしてほしいと」
自分の遺言なら、彼は必ず守ってくれるはずだ。
ハンナの揺らがない決意を聞き、ハーディーラも真剣な表情を見せた。
「しつこいようだが、魔法は一度かけてしまったら取り消せないぞ」
「後悔などいたしません。私の命と引き換えに、エリオットさまを救ってください」
それ以上の反論がないのは、承諾の意と解釈してもよいだろうか。
先手を打って、ハンナは「ありがとうございます」と告げてしまう。
ハーディーラが瞳を閉じる。
彼に呼ばれてやってきた風が、虹色の花をサワサワと揺らす。
下から押しあげられるような圧でハンナの身体は宙に浮いた。
そのまま、自分の意思ではないのにふわんと仰向けになる。
手足の力が抜け、ハーディーラみたいに、ハンナの身体も闇と同化していくような心地がした。
彼がなにか呪文めいた言葉をつぶやく。
はっきりと聞こえるわけではないが、エリオットを救う魔法だと思うと、とても耳に心地よい。
(すごく、幸せな死ですね)
自分の命が、愛する人を生かすために使われるのだから。
(無になるわけではない。私の魂はエリオットさまのなかで生きることができる。これからもずっと一緒……)