呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
「あぁ、よかった! 私の愛の重さをちゃんと感じられるんだね」
「いえ、そっちではなく物理的に……」
「はぁ……ハンナの声、なんて清らかで美しい。天上のものとしか思えないな」
ハンナはしっかりと言葉を話せているが、意志疎通はできそうになかった。歓喜のあまりエリオットが暴走しているからだ。
「陛下!」
身を乗り出してきたナーヤが、ベリッとエリオットをハンナから引きはがす。
「申しあげにくのですが、邪魔です。少しばかり、どいていてくださいまし」
なにひとつ遠慮する気もなさそうに、彼女はずばり告げた。
「さっ、王妃さま。お加減はいかがですか?」
ナーヤの助けを借りてハンナは身体を起こす。
「よろしければ、お茶を」
優しい香りは、やはりナーヤのお茶だった。
いつもと同じように渡されたお茶を、ハンナはひと口飲んだ。
温かい液体が喉を流れ、おなかに落ちる。自分の肉体をしっかりと感じ取れた。
(どう考えても、生きているわよね?)
状況を把握しようと、ハンナは周囲をキョロキョロする。
静かで温かい場所は、いつもエリオットと過ごしている夫婦の寝室だった。見慣れた壁と天井、そして調度の数々。
(ハーディーラさまが魔法をかけてくれなかった?)
けれど、先ほどの様子を見るかぎりエリオットはすっかり健康になっていた。元気いっぱいにハンナを抱き締めていたし、顔色もすこぶるよかった。
「いえ、そっちではなく物理的に……」
「はぁ……ハンナの声、なんて清らかで美しい。天上のものとしか思えないな」
ハンナはしっかりと言葉を話せているが、意志疎通はできそうになかった。歓喜のあまりエリオットが暴走しているからだ。
「陛下!」
身を乗り出してきたナーヤが、ベリッとエリオットをハンナから引きはがす。
「申しあげにくのですが、邪魔です。少しばかり、どいていてくださいまし」
なにひとつ遠慮する気もなさそうに、彼女はずばり告げた。
「さっ、王妃さま。お加減はいかがですか?」
ナーヤの助けを借りてハンナは身体を起こす。
「よろしければ、お茶を」
優しい香りは、やはりナーヤのお茶だった。
いつもと同じように渡されたお茶を、ハンナはひと口飲んだ。
温かい液体が喉を流れ、おなかに落ちる。自分の肉体をしっかりと感じ取れた。
(どう考えても、生きているわよね?)
状況を把握しようと、ハンナは周囲をキョロキョロする。
静かで温かい場所は、いつもエリオットと過ごしている夫婦の寝室だった。見慣れた壁と天井、そして調度の数々。
(ハーディーラさまが魔法をかけてくれなかった?)
けれど、先ほどの様子を見るかぎりエリオットはすっかり健康になっていた。元気いっぱいにハンナを抱き締めていたし、顔色もすこぶるよかった。