呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
 彼女は美麗な仕草で、プリンセスのようなお辞儀をしてみせる。

「あらためまして、我が主。私の名前はルミエルネ。光を司る聖霊よ」

 彼女の正体はあの虹色の小鳥。そして――。

「ひ、光の精霊……私が主?」
「そうよ。ずっと昔からあなたに呼んでもらえるのを待っていたのに。待ちくたびれちゃったわ~」

(彼女の話が本当なら、私は六大精霊使いってことになるけれど。え、え、えぇ~)

 あまりの出来事にハンナの理解はさっぱり追いつかず、目を白黒させるばかりだ。

「あ。あの! ひとつずつ、順に説明を。お願いします」

 みんなの口からそれぞれの事情が明かされる。まずはハーディーラ。

「騙したわけじゃないぞ。俺は案外、お前を気に入っているし、願いを聞いてやるつもりだったんだ。だが……」

 彼の言葉のあとを引き取ったのはエリオットだ。

「私はクロに、ハンナの不利益になる魔法は使えないよう縛りを与えていた。私の寿命の件にかぎらず、ハンナは自己犠牲精神が強いから心配だったんだ」

(それ、エリオットさまだけには言われたくないような……)

 ハンナは思ったが、今は説明を聞きたいので口を挟むのはやめておいた。

「まぁな。俺もそれは知ってたけど。エリオットは弱りきってたし、今回は俺が勝てると踏んだんだよ」
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