呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
「ま、待ってください! そもそも、反乱軍は? いったい、どうなったのです?」
「君が近衛軍をほとんど王都に残してくれたおかげで、あっけなく鎮圧できたよ。私がゆうべ、王宮にいる君とクロのもとに駆けつけたときには、もう片がついていた」

 反乱の首謀者であるフューリーは、これから裁判にかけられるようだ。

 魔獣襲撃の原因となったグレイブ山の無茶な森林伐採も、リベットの森の火事も、やはり彼が裏で糸を引いていたらしい。

「相応の厳罰がくだるだろうな」
「そ、そうなんですね。じゃあ、問題はすべて解決済みということ?」

 それに答えてくれたのはナーヤだ。

「えぇ。魔獣は王妃さま、反乱軍は陛下が! 今、王国中がおふたりを称える声であふれかえっていますよ」

 エリオットも重ねて言う。

「今日と明日は、救国記念日として祝日にしたよ」
「ものすご~く、私情が透けて見えますけどねぇ」

 ナーヤが苦笑交じりに突っ込むが、エリオットは堂々と胸を張る。

「私情でなにが悪い。今日と明日は私とハンナが愛し合うための祝日だ。というわけで、邪魔者はさっさと退散してくれないか」

 エリオットに追い出されるようにして三人が出ていき、ハンナは彼とふたりきりになった。

「半年だけでも十分だと思っていたんだ。ハンナと過ごし、愛していると伝えることができたら、それだけで私にはハッピーエンドだった」

 エリオットの瞳が甘く細められる。

「ハンナが私を愛してくれて、これからも君との日々が続くなんて……夢のようだ」

 愛おしい、彼の笑顔が近づく。

「私たちはきっと、世界で一番幸福な夫婦ですね」
「あぁ、そのとおりだ」

 そうして、ふたりは夢のように幸せなキスを交わした。
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