呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
呪詛を唱え終えた魔術師が、リリアナに向かって自信満々にうなずいてみせる。
「ほら、夫人は死んだよ。ここに記載されている四十二番の死の呪詛により……」
手にしていた分厚い書物をのぞいた彼の表情が、一瞬にして青ざめる。
「ん? 四十二番の呪詛は……あ、やべ」
「なによ、どうかしたの?」
口をとがらせるリリアナに、魔術師はバツが悪そうに視線をそらしながら返事をする。
「――間違えた。四十二番は死の呪詛じゃなく、眠りの呪詛だった」
「はああぁぁ?」
鬼の形相になったリリアナが彼の肩をつかみ、揺さぶる。
「眠らせてどうするのよ? 殺す約束で大金を払ったのよ! 今すぐ呪詛をかけ直して」
「そ、それは無理だ。今の呪詛の効力が解けて、つまり眠りから目覚めたあとじゃないと」
「いつ目覚めるのよ? 一時間、五時間? このエセ魔術師がぁ!」
貴族女性とは思えない口汚い罵りの言葉と、魔術師の頬を張るパァンという音。リリアナの剣幕に押され、彼は泣き出しそうになりながら口を開く。
「その……彼女が目覚めるのは――」
「ほら、夫人は死んだよ。ここに記載されている四十二番の死の呪詛により……」
手にしていた分厚い書物をのぞいた彼の表情が、一瞬にして青ざめる。
「ん? 四十二番の呪詛は……あ、やべ」
「なによ、どうかしたの?」
口をとがらせるリリアナに、魔術師はバツが悪そうに視線をそらしながら返事をする。
「――間違えた。四十二番は死の呪詛じゃなく、眠りの呪詛だった」
「はああぁぁ?」
鬼の形相になったリリアナが彼の肩をつかみ、揺さぶる。
「眠らせてどうするのよ? 殺す約束で大金を払ったのよ! 今すぐ呪詛をかけ直して」
「そ、それは無理だ。今の呪詛の効力が解けて、つまり眠りから目覚めたあとじゃないと」
「いつ目覚めるのよ? 一時間、五時間? このエセ魔術師がぁ!」
貴族女性とは思えない口汚い罵りの言葉と、魔術師の頬を張るパァンという音。リリアナの剣幕に押され、彼は泣き出しそうになりながら口を開く。
「その……彼女が目覚めるのは――」