呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
二 不遇王子と教育係
二 不遇王子と教育係


 自分の人生は地味で平凡。でも、そんなささやかな日々をハンナは心から愛していた。

 二十歳を迎えたばかりのとある日、そんな日常に少しだけ特別なことが起きた。

 母であるサラヴァン子爵夫人が「話があるの」とハンナを応接間に呼ぶ。

 ようやく縁談が決まったのだろう。ハンナはそう確信すると同時に、ホッと胸を撫でおろした。なぜなら、自分がやや〝行き遅れ〟である自覚は持っていたから。

 ところが、母の話は寝耳に水の、まったく想定もしていなかった内容だった。

「王子殿下の教育係……を私が?」

 なにかの聞き違いとしか思えず、ハンナはパチパチと目を瞬く。母は困ったような、弱ったような顔で話を続ける。

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