呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
「ここは古いですが、王家の城ですからね。蔵書はなかなかのものが揃っていますよ。殿下の趣味に合いそうなものを一緒に探しましょう!」
書庫は長らく空気換えすらされていなかったようで、棚に入りきらず床に積まれた書物たちはすっかり埃をかぶっていた。
(まぁ、これなんて希少価値が高いものですのにもったいない)
一冊の本を持ちあげ、開いてみる。すると、隙間からカサカサと蜘蛛が這い出てきてハンナを絶句させた。
「大丈夫か?」
エリオットが駆け寄ってきて、ハンナの背を支えてくれる。思っていた以上に大きな手のひらに、ハンナの心臓は小さく
跳ねた。
(華奢に見えるけど、やっぱり男の子なんですね……)
「は、はい。特別に虫が苦手なわけではないですが、不意打ちは卑怯ですよね」
「この蜘蛛からすると、いきなり部屋に侵入してきた俺たちのほうが不意打ちなんじゃないか?」
「た、たしかに」
エリオットのもっともな意見にハンナはうなずき、本の整理を再開させた。その背中にエリオットが問いかける。
「そういえば、ハンナも……魔法は使えないのか?」
ハンナは彼を振り返る。答えを聞くより先に、彼が言葉を続けた。
「もしかして、俺に気を使っている?」
魔法の使えない彼に遠慮してハンナも使わないようにしているのか? そう聞きたいのだろう。
「私は、簡単な生活魔法が使えますよ」
書庫は長らく空気換えすらされていなかったようで、棚に入りきらず床に積まれた書物たちはすっかり埃をかぶっていた。
(まぁ、これなんて希少価値が高いものですのにもったいない)
一冊の本を持ちあげ、開いてみる。すると、隙間からカサカサと蜘蛛が這い出てきてハンナを絶句させた。
「大丈夫か?」
エリオットが駆け寄ってきて、ハンナの背を支えてくれる。思っていた以上に大きな手のひらに、ハンナの心臓は小さく
跳ねた。
(華奢に見えるけど、やっぱり男の子なんですね……)
「は、はい。特別に虫が苦手なわけではないですが、不意打ちは卑怯ですよね」
「この蜘蛛からすると、いきなり部屋に侵入してきた俺たちのほうが不意打ちなんじゃないか?」
「た、たしかに」
エリオットのもっともな意見にハンナはうなずき、本の整理を再開させた。その背中にエリオットが問いかける。
「そういえば、ハンナも……魔法は使えないのか?」
ハンナは彼を振り返る。答えを聞くより先に、彼が言葉を続けた。
「もしかして、俺に気を使っている?」
魔法の使えない彼に遠慮してハンナも使わないようにしているのか? そう聞きたいのだろう。
「私は、簡単な生活魔法が使えますよ」