呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
エリオットは書庫を出ていく。
待っている間にハンナは棚の下段の整理を終えてしまおうとその本棚に近づいた。
かがみ込み、バラバラになっている本を並べ直していく。
「それにしても、この本棚自体がだいぶ……木が腐りかけていて危ないかもしれないわ」
よほど古いものなのだろう。湿気を吸って、もろくなっている。ハンナは顔をあげて上を見た。
最上段には本ではなく、大きな花瓶のようなものがのっている。
(どうして重いものを上に置いたりしたのかしら? 殿下が戻ってきたら、あれは下の段に移動させましょう)
次の瞬間、本棚がミシミシと不穏な音を立てた。
「え?」
ベキッという音がしてどこかの板が割れた。そして、あの大きな花瓶がハンナの頭上を目がけて落ちてくる。
ハンナのゆったりとした生活魔法では到底間に合わない。
とっさに両手で頭を抱えて被害を最小限にしようと務めた。ところが、想定していた衝撃は落ちてこない。
「あら?」
視線をあげれば、重い花瓶がぷかぷかと宙に浮いている。それからシュンとその姿が消えた。
「え、え?」
ハンナは花瓶を捜してキョロキョロする。それは、まるで最初からそこにあったような顔で書庫の入口横に佇んでいた。
(物を瞬間移動させた? 結構な上級魔法……いったい誰が?)
待っている間にハンナは棚の下段の整理を終えてしまおうとその本棚に近づいた。
かがみ込み、バラバラになっている本を並べ直していく。
「それにしても、この本棚自体がだいぶ……木が腐りかけていて危ないかもしれないわ」
よほど古いものなのだろう。湿気を吸って、もろくなっている。ハンナは顔をあげて上を見た。
最上段には本ではなく、大きな花瓶のようなものがのっている。
(どうして重いものを上に置いたりしたのかしら? 殿下が戻ってきたら、あれは下の段に移動させましょう)
次の瞬間、本棚がミシミシと不穏な音を立てた。
「え?」
ベキッという音がしてどこかの板が割れた。そして、あの大きな花瓶がハンナの頭上を目がけて落ちてくる。
ハンナのゆったりとした生活魔法では到底間に合わない。
とっさに両手で頭を抱えて被害を最小限にしようと務めた。ところが、想定していた衝撃は落ちてこない。
「あら?」
視線をあげれば、重い花瓶がぷかぷかと宙に浮いている。それからシュンとその姿が消えた。
「え、え?」
ハンナは花瓶を捜してキョロキョロする。それは、まるで最初からそこにあったような顔で書庫の入口横に佇んでいた。
(物を瞬間移動させた? 結構な上級魔法……いったい誰が?)