呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
 だが、その魔法使いのなかには明確な序列が存在している。

 ハンナの使う生活魔法などはピラミッドの下のほう。反対に頂点に君臨しているのが……精霊使いと呼ばれる人々だ。
 
 高い魔力を持つ精霊を使役できるのは特別な人間のみ。彼らは自身の精霊の力でありとあらゆる魔法を使いこなす。精霊使いは非常に希少で、歴史あるオスワルト王国にも確認できているだけで十数名ほどと言われている。

(その、神にも等しい精霊使いのなかでも、さらに特別とされるのが六大精霊を使役する人々で……現在のオスワルト王国には存在すらしていなかったはず)

 地・水・風・火、そして光と闇。すべての魔法の源となる元素をつかさどる六大精霊。

 彼らは人間に使役されることをものすごく厭う。だから、六大精霊の使役主は広大な大陸中を探しても、ひとりかふたり。生きている間にその力を見せてもらえたら僥倖というレベルの、伝説的な存在だった。

(伝説級の六大精霊のひとりが……今、私の目の前に……?)

 エリオットは魔力がなかったはずでは? 

 けれど、彼を守るように背後に立っているのは魔法書に描かれた闇の精霊ハーディーラ、そのものだ。

(誰かがハーディーラの仮装をしている、とかでしょうか? いや、でもコウモリの姿から一瞬で変身していましたよね?)
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