呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
(つまり、エリオット殿下は六大精霊使いってことになるわよね)
それが事実ならば、間違いなく次期皇帝の最有力候補になるはずで『不遇王子』の立場に甘んじているのはどういうことなのか。
「エリオット殿下……。魔力がないとおっしゃっていましたよね? どうしてそんな嘘をついたのですか?」
嘘をつくような人間には見えないのに。どういうことか?とハンナは説明を求めた。
話が長くなりそうなので、書庫からエリオットの部屋に場所を移し、ハンナはお茶を入れた。
精霊が紅茶を好むのかは知らなかったが、ハーディーラはごくごく紅茶を飲み、ハンナの焼いてきたバタークリーム添えのスコーンもパクパクと口に運んでいる。
エリオットはハンナの目を見つめて、口を開く。
「ハンナに嘘などつかないよ」
「で、ですが! たしかに自分には魔力がないとおっしゃっていましたよね」
少し責めるような口調になってしまったのは、許してほしい。
「魔力がないとは言っていない。俺は〝魔法が使えない〟と言ったんだ」
「どういう意味です?」
言葉遊びとしか思えず、ハンナは彼に向かって唇をとがらせた。
「つまり……こいつ、クロは俺の言うことなんか聞いてくれないんだ。魔力の共鳴は起きていて、いつも近いところにいるが〝使役〟はできていない。使役できなければ魔法は使えないから」
ハーディーラが口を挟む。
それが事実ならば、間違いなく次期皇帝の最有力候補になるはずで『不遇王子』の立場に甘んじているのはどういうことなのか。
「エリオット殿下……。魔力がないとおっしゃっていましたよね? どうしてそんな嘘をついたのですか?」
嘘をつくような人間には見えないのに。どういうことか?とハンナは説明を求めた。
話が長くなりそうなので、書庫からエリオットの部屋に場所を移し、ハンナはお茶を入れた。
精霊が紅茶を好むのかは知らなかったが、ハーディーラはごくごく紅茶を飲み、ハンナの焼いてきたバタークリーム添えのスコーンもパクパクと口に運んでいる。
エリオットはハンナの目を見つめて、口を開く。
「ハンナに嘘などつかないよ」
「で、ですが! たしかに自分には魔力がないとおっしゃっていましたよね」
少し責めるような口調になってしまったのは、許してほしい。
「魔力がないとは言っていない。俺は〝魔法が使えない〟と言ったんだ」
「どういう意味です?」
言葉遊びとしか思えず、ハンナは彼に向かって唇をとがらせた。
「つまり……こいつ、クロは俺の言うことなんか聞いてくれないんだ。魔力の共鳴は起きていて、いつも近いところにいるが〝使役〟はできていない。使役できなければ魔法は使えないから」
ハーディーラが口を挟む。