呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
両親の決めた縁談に異を唱えるなど、貴族令嬢としてはあるまじき行為だけれどつい口をついて出てしまった。ハンナの父は穏やかな性格なので、激高したりせず丁寧に事情を打ち明けてくれる。
「お前も言わずとも察していたと思うが……自国内にハンナの嫁ぎ先を見つけるのに少し苦労していてな」
「はい、やや行き遅れ気味の自覚はありますわ」
貴族ならば十八歳前後で婚約者が決まっているのが普通で、二十歳での縁談は遅いくらいなのだ。
自身の名誉のために言い訳させてもらうと、決してハンナに大きな欠点があるわけではない。かぎりなく下級に近い中級貴族の結婚は難しいのだ。できれば上方婚をしたいところだが、あまり需要はない。かといって、準貴族であるナイトやジェントリとの結婚は少しばかりプライドが傷つく。そんなわけで、ハンナの婿探しは難航していた。
「私が頭を悩ませていたのを気遣ってか、フューリー殿下が縁談を持ちかけてくださったんだよ」
「まぁ。第一王子殿下が?」
フューリーは、オスワルトの第一王子。この国の王族は長子相続ではなく、最も優秀な王子を国王が指名する決まりではあるが……四人の王子のなかでもっとも玉座に近いと目されているのが彼だった。
「お前も言わずとも察していたと思うが……自国内にハンナの嫁ぎ先を見つけるのに少し苦労していてな」
「はい、やや行き遅れ気味の自覚はありますわ」
貴族ならば十八歳前後で婚約者が決まっているのが普通で、二十歳での縁談は遅いくらいなのだ。
自身の名誉のために言い訳させてもらうと、決してハンナに大きな欠点があるわけではない。かぎりなく下級に近い中級貴族の結婚は難しいのだ。できれば上方婚をしたいところだが、あまり需要はない。かといって、準貴族であるナイトやジェントリとの結婚は少しばかりプライドが傷つく。そんなわけで、ハンナの婿探しは難航していた。
「私が頭を悩ませていたのを気遣ってか、フューリー殿下が縁談を持ちかけてくださったんだよ」
「まぁ。第一王子殿下が?」
フューリーは、オスワルトの第一王子。この国の王族は長子相続ではなく、最も優秀な王子を国王が指名する決まりではあるが……四人の王子のなかでもっとも玉座に近いと目されているのが彼だった。