呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
「使いこなせない状態だとしても、どうして六大精霊の使い手であることを秘密にしているのですか? 王宮に伝えたら絶対に!」

 彼の待遇はもっとよくなるはず。いや、それどころかすぐに次期国王の座が約束されたっておかしくないのに。

 エリオットはパチパチと目を瞬き、けろりとした表情で言う。

「秘密にしているわけじゃない。何度か話そうとはしたんだ。けど……」

 彼は隣にいるハーディーラを横目で見る。ハーディーラはケケッと愉快そうに笑んだ。

「証拠に精霊を呼んでみろと言われても……クロは俺の言うことなんか聞きやしないから。『大嘘つき』『精霊使いを愚弄している』とかえって怒られて。もう面倒だから誰にも話さないつもりだった。兄上にも……そのほうがいいと言われたしな」

 エリオットは苦笑して首をすくめる。

 ハンナはハーディーラをにらみつけた。

「どうして? そんな意地悪をするんですか?」

 彼は歌うような口調で答える。

「意地悪じゃないさ。精霊とは〝そういうもの〟だから」

 強い者にのみ服従する。そういう生態だと言いたいらしい。ハーディーラはニヤリと笑う。

「まぁ、ひとつ情けをかけてやるとするなら……さっきの魔力はなかなか強力だった。常にあのパワーが出せるなら、お前は俺さまの使役主になれるかもな」
「さっきの力……と言われてもな」

 エリオットには、どうもピンときていないようだ。
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