呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
 彼は外の世界を知り、もっともっとたくさんの人と出会う必要がある。

 そのなかには、きっと素敵な女性がいて、エリオットはいつか本物の恋を知るだろう。

(私の教育係としての使命は、そのお手伝いをすることですね)

 かすかに忍び寄る寂しさに無理やり蓋をして、ハンナはほほ笑んだ。

「もったいないお言葉を、ありがとうございます。これから、殿下にはもっともっと大切なものがたくさん見つかっていくはずです。私にどうか、そのお手伝いをさせてくださいね」

 エリオットは不満げに唇をとがらせる。

「そんな手伝いは不要だ。ハンナ以上に大事なものなんかできないし、望んでもいない」

 ハンナは答えず、静かに目を細めた。
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