呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
三 王になった理由
三 王になった理由
 
 
 サファイアの瞳がハンナを見据える。このまっすぐな視線だけは、あの頃とまったく変わらない。

「ハンナ、どうか私と結婚してくれ」
「け……結婚……おっしゃる意味が……」
「というより、君はすでに私の婚約者という立場なんだ」

 衝撃に口をパクパクさせるハンナに、エリオットはにっこりと笑む。

 きちんと説明しよう。そう前置きして、彼は話し出した。

「君が眠りについた十五年前、私はちょうど次期国王に指名されたところだった。私は『目覚めたハンナが正妃になってくれるのなら』という条件で、次期国王の座を承諾した」

 不遇王子だったはずのエリオットが条件交渉できるほどの力を得たことは素直に喜ばしい。だが、その意味のわからない条件には首をかしげざるを得なかった。
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